慣性モーメント(3D)




 

チューブの半径は、外側:内側=0.75:1です。ころがり摩擦はないものと仮定しました。
チューブの半径は、外側:内側=0.5:1です。ころがり摩擦はないものと仮定しました。
チューブの半径は、外側:内側 = 0.25:1です。ころがり摩擦はないものと仮定しました。
シリンダーのころがり摩擦はないものと仮定しました。
ブロックのすべり摩擦はないと仮定したシミュレーションです。

なぜ転がっていく物体は滑って下がる物体よりも遅い下がるでしょうか?

結論を先に言えば、物体を回転させることに、エネルギーの一部を消費したからです。
それに反して、回転せずに滑る物体は位置エネルギーを100%並進運動エネルギーに変えることができます。

すべり摩擦がないと仮定すると、物体に加えられた全エネルギーは物体を動かして並進運動エネルギーと物体を回転させる回転運動エネルギーに分けジョショ配分されます。

全運動エネルギー = 並進運動エネルギー + 回転運動エネルギー

\[ K\, =\, \frac { 1 }{ 2 } m{ v }^{ 2 }\, +\, \frac { 1 }{ 2 } I{ \omega }^{ 2 } \]
 

m: 物体の質量(kg)
v: 物体の質量中心の速度(m/s)
I: 物体の慣性モーメント(kg.m²)
w: 物体の角速度(rad/s)

半径を「R」とすれば、滑らず転がっだけ行く運動の角速度は、 \( \omega = \frac { v }{ R } \) ですので、全体の運動エネルギー「K」は、次のように表すことができます。

\[ K\, =\, \frac { 1 }{ 2 } (\frac { I }{ { R }^{ 2 } } +m){ v }^{ 2 } \]

この物体を運動するようにするエネルギーの源は、傾斜の位置エネルギーです。
物体が転がっ下がった傾斜の長さを「x」にすると傾斜の位置エネルギーは、

\[ E\, =\, mgx\cdot sin(\theta ) \]

です。
供給されたエネルギー「E」と使用されたエネルギー「K」は、完全に同じなので、

\[ mgx\cdot sin(\theta )\, =\, \frac { 1 }{ 2 } (\frac { I }{ { R }^{ 2 } } +m){ v }^{ 2 } \]

運動の関係式 \( { v }^{ 2 }\, =\, 2ax \)を代入して簡単にすると、

\[ \begin{split} mgx\cdot sin(\theta )\, &=\, \frac { 1 }{ 2 } (\frac { I }{ { R }^{ 2 } } +m)\cdot 2ax \\ mg\cdot sin(\theta )\, &=\, (\frac { I }{ { R }^{ 2 } } +m)\cdot a \end{split} \]

です。 最後に、並進運動の加速度「a」は、次のように表すことができます。

\[ \therefore a\, =\, \frac { g }{ (\frac { I }{ m{ R }^{ 2 } } +1) } sin(\theta ) \]

上式に転がっていく物体の慣性モーメントを代入すると、物体の転がり行く加速度を求めることができます。
したがって、物体がどのような方法転がる場合(\( I\neq 0 \))は、単純に摩擦なしに滑走場合に比べてゆっくり降りていきます。
もう一つの興味深い実際には、物体の形状が同じであれば、物体の大きさに関係なく、加速度があります。
たとえば、同じ形の球であれば、球の大きさが変わっても、斜面を下る加速度は同じです。

慣性モーメント ‘\(I\)’

「慣性」が直線運動で運動状態を維持しようとする性質であれば、「慣性モーメント」は、回転運動を維持しようとする程度を示す物理量です。
つまり、回転する物体は、外力が加わらない場合、ずっと回転しようとします。

「慣性」は、物体の質量のみ比例するが、「慣性モーメント」は、物体の質量だけでなく、物体の形状にも影響を受けます。
以下は、様々な形の物体の慣性モーメントです。

Moment of Inertia