さまざまな惑星での水銀気圧計




地球・月・水星・金星・火星に水銀気圧計を持って行くと、どのようになるのでしょうか?

水銀気圧計はU字型で片方が開放、もう片方は密閉されており、密閉側は真空になっていると仮定します。

🌍 地球(Earth)

  • 正常に作動します。
  • 地球の大気(約1気圧)が水銀を押し上げるため、水銀柱の高さは約760 mmHg になります。
  • 密閉管の上部は真空状態になります(トリチェリの真空)。

🌙 月(Moon)

  • 月にはほとんど大気がありません。つまり、ほぼ真空です。
  • そのため、水銀を押し上げる気圧が存在しません。水銀柱は形成されず、水銀を除く気圧計全体がほぼ真空のような状態になります。
  • 水銀柱の高さ差は「0」になります。

☿ 水星(Mercury)

  • 水星の大気は極めて薄く、実質的には「気圧 = 0」とみなせるほどです。
  • そのため、水銀気圧計は作動せず、水銀柱は上がりません。
  • また、昼間は非常に高温になるため、水銀が一部蒸発する危険もあります。

♀ 金星(Venus)

  • 金星の地表気圧は約90気圧です。
  • したがって、大気圧は水銀を非常に強く押し上げます。しかし、その柱の高さがあまりにも高いため、現実的に金星の気圧を水銀気圧計で測定することは困難です。
  • 水銀柱の高さは気圧に比例するため、地球での760 mm に 90 を掛けると
    760 mm × 90 = 約 68,400 mm = 約 68.4 m
  • つまり、金星の気圧を水銀気圧計で測るには、約68 m のガラス管が必要になります。
  • ガラス管が折れたり、水槽があふれたり、装置が耐えられない可能性が高いでしょう。

♂ 火星(Mars)

  • 火星の地表気圧は地球の約0.6%(約0.006気圧)です。
  • 水銀気圧計で火星の気圧を測ると
    760 mmHg × 0.006 ≈ 約 4.5 mmHg
    となります。
  • つまり、水銀柱はほとんど上がらず、わずかに数ミリ上昇する程度です。
  • 非常に低い数値のため、正確な測定が難しくなります。